四肢外傷
転倒、スポーツ外傷で日常よく見られる骨折から、交通事故や労災事故による関節内骨折、粉砕骨折などの複雑な骨折まで幅広く治療を行っています。
骨折のなかで特に多いのは、骨折後の寝たきりの原因にもなる股関節周囲の骨折(大腿骨近位部骨折)で、その発生頻度の増加は2040年頃まで続くと予測されています。寝たきりを防ぐためには、早期の手術とリハビリが重要であり、当院でも積極的に取り組んでいます。この骨折を含め高齢者の骨折患者さんの多くは、骨が弱くなっている骨粗鬆症の状態です。骨折予防も重要と考えており、骨粗鬆症患者さんには骨密度検査や血液検査などの検査結果を元に、一人一人に合わせた治療を行っています。
他に頻度の高い肩、手首、足の骨折から労災事故で多い踵の骨折、交通外傷で多い鎖骨骨折や下腿骨折など、四肢の骨折で手術適応がある骨折に対しては、積極的に手術加療を行っています。手術の患者さんだけではなく、保存的治療の患者さんにも早期からリハビリテーションを継続して頂くことで、患者さんのよりよい機能回復と早期社会復帰を目指し、安佐地区および近隣地域の骨折患者さんのニーズに応えることのできる医療を提供します。
代表疾患
大腿骨近位部骨折(足の付け根の骨折)
・高齢者の転倒で生じる頻度が高い骨折です。
・寝たきりの原因としても頻度が高く、早期の手術とリハビリが望ましい骨折です。
・必要に応じて後方支援病院と連携しながら、元の日常生活への復帰を目指します。
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- 術前
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- 術後
上腕骨近位部骨折(肩の骨折)
・高齢者が転倒した際、肩やうでを強打して生じることが多い骨折です。
・高齢化に伴い、他の部位と同様に発生数が増えている骨折です。
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- 術前
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- 手術例1
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- 手術例2
橈骨遠位端骨折(手首の骨折)
・手をついて転倒の際などに生じます。
・ずれが大きい場合や、早期にギブス除去、社会復帰を希望される場合に手術を行っています。
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- 術前
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- 術後
足関節骨折
・転倒、転落の際に足をねじった場合などに生じます。
・多少のずれでも、骨がつくのが遅れたり、足首の障害が残る可能性が多い骨折であるため、手術が選択されることが多い骨折です。
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- 術前
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- 術後
踵骨骨折(かかとの骨折)
・高所作業時の転落などによる労災事故の頻度が高く、複雑な折れ方が多い骨折です。
・後遺症が残ることが多い骨折であり、障害が少なくすむように適切な治療に努めています。
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- 術前
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- 術後
下腿骨折
・バイクや自転車など交通事故で直接下腿をぶつけたりねじったりしたときに生じます。
・早期社会復帰のため手術が選択されることが多い骨折です。
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- 術前
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- 術後
過去の主な骨折の手術件数
手術集計 2015~2017年度
術式 | ||||
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骨折部位 | 2015 | 2016 | 2017 | |
大腿骨近位部骨折 | ||||
人工骨頭挿入術 | 55 | 64 | 69 | |
骨折観血的手術 | 62 | 73 | 88 | |
上腕骨近位部骨折 | 14 | 16 | 24 | |
橈骨遠位端骨折 | 16 | 32 | 46 | |
足関節骨折 | 24 | 30 | 33 | |
その他 | 上肢骨折 | 53 | 45 | 72 |
下肢骨折 | 29 | 32 | 37 | |
アキレス腱断裂手術 | 6 | 5 | 7 | |
骨内異物(挿入物を含む)除去術 | 98 | 90 | 125 | |
全体計 | 357 | 387 | 501 |
*緑井整形外科での手術数も含む